ひきこもり基本法の法制化方針

 ひきこもり基本法についてその必要性を考えるときには、現状において、それがないことによって様々な施策が進まないという現状を踏まえることが必要です。

 この法律の必要性を国会議員、県議会議員、市議会議員などに訴えるときに、意見として出てくることの一つに、孤独・孤立対策推進法があるので、これにて対応できるのではないかというもの。この法律はひきこもりに特化したものではなく、自治体において、ひきこもりに対する計画を立てるとかの責務を求めていません。つまり自治体においてひきこもり施策に対して何もしなくても問われません。極論すれば、ひきこもりに関して、何も進まない法律でもあるといえます。

 現在、ひきこもりに対する法律はなく、ひきこもり地域支援センターなどの運営には生活困窮者自立支援法のもとに予算が立てられ、同法のもとにできている自立支援窓口ではひきこもりにも対応することが求められています。しかしながら、この法律はその名が示す通り、生活に困窮した人に対応することを第一義としており、コロナ禍においては、職を失い、生活に困窮する人が急増し、窓口対応は3倍に増加するなど、混乱しました。当然、このような状況ではひきこもり対応は後回しにせざるを得ない状況となりました。また、ひきこもりに関する実態調査について、厚労省から自治体に実施するよう通知されていますが、対応していない自治体もあります。つまり、法に基づかない施策については、自治体においては何にも手が付けられていない実態があります。

 以上の点は一部の例でありますが、根拠となる法がないことによってひきこもり支援が停滞する一例であります。

 ひきこもり支援推進議員連盟においてひきこもり基本法の骨子案は示されましたが、その後、進展が見られません。骨子案の中では、孤独・孤立対策推進法との関係に配慮することも示されましたが、上記のように、自治体において、ひきこもりに特化した支援計画の策定などを求めるためには、孤独孤立対策推進法では不十分であります。

 日本の将来を想定するときに人口減少が見込まれ、その対策には、就職氷河期世代の人たちも含め、現在ひきこもっている人たちを社会に参加させ、日本の活力を維持させるためにも早急な対応が必要であります。もちろん、ひきこもり基本法だけで対応できるものではなく、関係法令の改正なども必要となってきます。その点では、関係者を巻き込んだ活動が求められます。ひきこもり状態にある当事者は障害者でもなく、健常者にも位置付けられず、根拠となる法律に守られていない人です。そのような方はLGBTQ、難病、刑余者等様々な方がおられます。今こそ、障害の有無にかかわらず、すべての人が未来に向けて一歩を踏み出せる社会の構築に努力すべき時が到来していると考え、このような困難な時代に我々ひきこもり未来創造リレーションはその未来を創造できる一翼を担うべき存在として尽力してまいりたいと存じます。

年度計画

 12月全国大会
 シンポジウム講師にインクルーシブ雇用議連の会議参加メンバーの中から、(一社) ダイバーシティ就労支援機構 理事長に参加いただき、障害の有無にかかわらず社会参加可能な社会を目指す視点に基づきお話しいただき、インクルーシブな雇用の必要性について社会のご理解をいただく。

ひきこもり支援推進議員連盟ロビー活動
 参議院選挙が終了後、ひきこもり支援推進議員連盟の活動状況や、公明党のひきこもりPTの動きも見ながらタイミングを見てロビー活動を実施する。

各支部における県議会・市議会におけるひきこもり基本法制定への意見書採択の活動
 現在意見書が採択されている県議会・市議会もあるが、議会内の反対派勢力により意見書採択されていない議会もある。特に自民党が反対に回る議会もあり、ひきこもり支援推進議員連盟のコントロールが効いていない状況にある。これについて、どのようにアプローチをしていくか検討が必要。

予算

 交通費が主となるが、1回はロビー活動のため必要。10万円程度は必要となるが現状では確保が難しい。